4つの壁─無知の壁を越えよ─
激動の一年が始まりました。
「なぜ日本のテレビや新聞は、世界で起きている現実を十分に伝えないのか」──こうした声が囁かれるようになって、すでに10年が経ちます。
お金の価値観だけが強調される報道の中で、私たちはいつの間にか“見たい情報だけを見る社会”に慣らされてしまったのかもしれません。
しかし、二千年を超える日本の歴史を振り返ると、日本は本来「民がしっかりした国」であり、世界的にも稀有な成熟した社会を築いてきました。
為政者の判断によって混乱や争いが生じることはあっても、民(国民)が社会の基盤を支え続けてきたことが、日本という国の本質であったように思います。
一方で、最低賃金の上昇は止まりません。今年もさらなる引き上げが見込まれています。これは単なる賃金問題ではなく、「家賃を払い、雇用し、賃金を払う」という従来型のビジネスモデルそのものが限界を迎えつつあることを示しています。
「雇用社会」は、日本の長い歴史の中では実はまだ100年にも満たない仕組みです。
江戸時代、日本最大級の企業といわれた大阪・堺の米穀商は、正社員はわずか9名でありながら、1,000人以上の人々が請負という形で働いていました。
戦後の制度改革によって生まれた「雇用社会」が、最低賃金の急上昇によって揺らいでいるとすれば、それは歴史の大きな転換点なのかもしれません。
こうした時代において、私たちの前には「四つの壁」が立ちはだかります。
それは、無知の壁・無関心の壁・無自覚の壁・無責任の壁です。
無知であれば関心は生まれず、関心がなければ自覚は芽生えず、自覚がなければ責任は持てません。
つまり、最初に乗り越えるべきは常に「無知の壁」です。
知ろうとする姿勢こそが、変化の出発点になります。
時代が大きく動く今こそ、私たちは現実から目を背けず、自ら考え、選び、行動する必要があるのではないでしょうか。
令和8年1月1日 水谷英二の経営者に一言
今月のテーマは、「4つの壁─無知の壁を越えよ─」でした。

