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給与計算は自社で抱えるべきか

近年、「デジタル一元化」という言葉が日本中で飛び交っています。
テレビCMでも「楽々〇〇」といったサービスが次々とバージョンアップされ、特に最終決裁権限を持つ60代経営者層を狙った宣伝が目立つようになりました。
しかし、本来「デジタル一元化」とは企業経営の目的ではなく、あくまでも手段にすぎません。
戦略ではなく、戦術以下の手段であることを理解して活用すべきです。

日本では今、これまでにない賃金上昇が続いています。
最低賃金は今後も上昇が見込まれ、企業はこれまでと異なる前提で経営判断を迫られる時代に入っています。
こうした中で、粗利益を生まない経理・総務業務に高い人件費を投じ続けることは、経営効率を大きく損なう結果につながりかねません。

外部委託費と自社の人件費を単純比較して「社内でやった方が安い」と判断する経営者もいますが、その判断は人件費の本質的な中身を正しく捉えていない可能性があります。結果として、大きな“見えないコスト”を抱え込むことになるのです。

以前にも触れましたが、企業の総務・経理部門の人員は「全社員の4%」が理想といわれます。
企業が成長するためには、粗利益を生む営業や製造といった現場部門の人員を強化する必要があります。
しかし現在、多くの企業で総務・経理の人員だけが増えている傾向が見られます。
最低賃金が急上昇する今、バックオフィスの人員を最適化していかないと、企業経営は成り立たなくなっていくでしょう。

さらに、ある著名な先生が「仕事の属人化は組織を衰退させる」と語っていますが、その代表例が「給与計算業務」です。
給与計算に高額なシステム費・人件費を費やし続ける経営は、収益力の高い限られた企業にしか成立しません。
一方で、給与計算を外部委託している企業ほど高い収益性を確保しているという事実もあります。

企業が本当に投資すべきは、利益を生み出す領域です。
「人を活かすための人件費」と「仕組みに埋没する人件費」を見誤らないことが、これからの時代の重要な経営判断になるでしょう。