お問い合わせ
TOP > お問い合わせ

最低賃金の急上昇が、もたらすもの

過去4年間で、新潟県の最低賃金は191円上昇しています。
この傾向は全国的にも同様ですが、賃金は「絶対額」であり「生活給」である点が重要です。

現在、最低賃金は東京が1,226円、高知・宮崎・沖縄が1,023円となっています。
800円と1,000円の差、そして1,000円と1,200円の差では、その意味合いが大きく異なります。

一般的に、地方都市は物価水準が低いため、生活の「豊かさ」で見ると地方の方が優位にあるとも言えます。
今後は、生活様式や価値観の変化によって、その傾向がさらに顕著になっていくかもしれません。

一方で、最低賃金の上昇は企業にとって「人件費の時間当たりコスト」を真剣に見直す契機となります。
つまり、「人時生産性」──1時間あたりどれだけの粗利益を生み出しているか──という指標の重要性が増していきます。
日本は今、かつて経験したことのない「人口減少」という経済現象の中にあります。
その中で中小企業が目指すべきは、極論すれば「売上は微減しても、営業利益は微増し、事業を継続する」という新たな理想像です。
その実現には、「人件費の考え方」を根本から見直す必要があります。
簡単に言えば、「少数精鋭で経営する」ということです。

最低賃金が上がれば、既存社員の賃金も連動して上昇していきます。
ただし、全員一律に上がるわけではありません。特に若年層の賃金が今後急上昇していくと考えられます。

最低賃金が1,000円を超えるということは、若い正社員の時給換算で少なくとも1,300円程度(約30%増)を想定しなければ、労働者がアルバイトという選択肢を取る可能性が高まります。
この「最低賃金+30%」の昇給を実現できるかどうかが、今まさに企業の先行投資の分かれ目となっています。

そして「若い人財の応募がない」という現状を放置する企業は、10年後の存続が危うくなると言わざるを得ません。
今こそ、人件費の構造を見直し、未来への投資としての賃金戦略を考える時期に来ているのです。