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管理職が、本来の仕事をしていない

ここ数年、私への労務相談の内容を分析すると、
管理職の皆さんが本来の管理職の業務を全うしていないという事実を目の当たりにします。

私への労務相談ですから、あくまでも「労務管理」という分野に限っての話です。
具体的には、「残業時間管理」と「退職勧奨」です。

労働基準法上は、時間外労働は、「上長の命令権」です。
部下は上長に「残業許可願」を事前に提出し、上長は部下に「命令」をするという流れが、労働基準法上の時間外労働の大原則となります。
労働基準法と同じ「労働刑法」である労働安全衛生法は、現場での指示命令系統等、会社内の組織体制を要求しています。

給与計算を行うために、タイムカードのみで勤怠管理をしている場合は、
上記のような「残業命令」という労働基準法の基本から外れてしまいます。

当然管理職は、勤怠管理に関して何も仕事をしないとう状況になります。
営業本部長が総務部長に向かって、「タイムカードを導入してデジタル管理しろ・・・」
などという、本末転倒している会話が役員会議で聞こえてくるという状況です。

また「退職勧奨」や「諭旨解雇」のような案件は、すべて総務人事の仕事と決めつけている部長職も沢山目にします。
または退職勧奨は、「社長の仕事」と決めつけている場合も多いです。
退職勧奨も諭旨解雇も本来は、大手企業ならば「課長の仕事」、中小企業ならば「部長の仕事」です。

最近の日本国全体で、何か異変が起きています。
それは、「管理職が、本来の仕事をしていない」という状況です。

零細企業は、すべて社長の仕事でも仕方ないと考えます。
しかし、部下を相当数持つ上長たる「課長」「部長」の方々は、労働基準法41条の「監督若しくは管理の地位にあるもの」に該当します。

最低限の仕事をしないと企業の生産性は下がる一方です。

令和7年9月1日 水谷英二の経営者に一言
今月のテーマは、「管理職が、本来の仕事をしていない」でした。